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民法改正で何が変わるvol.2

120年ぶりの民法(債権法)の改正施行が2020年4月1日からおこなわれています。どのように改正されたのかをシリーズでお伝えします。

3つの契約の改正ポイント

今回の記事は民法改正の「売買、消費貸借、定型約款などの契約」についての内容についてお伝えします。

〇売買契約

売主が引き渡した目的物が種類や品質の点で契約内容と違う、数量が不足している場合に売主が負う責任に関するルールが改正されました。改正前はこのようなことを背景にした争いがあり、代金の減額については限定された条件でした認められていませんでした。改正後は売主と買主のいずれに帰責事由があるかに応じて「損害賠償請求や解除」「修補や代替物の引渡し」「代金の減額」の請求ができるようになりました。帰責事由と買主の救済方法については下記の表を参照してください。ただし、買主が請求をおこなうためには、引き渡された商品が契約に適合してないことを知ってから1年以内に売主に通知する必要があります。

買主の救済方法 買主に帰責事由あり 双方とも帰責事由なし 売主に帰責事由あり
損害賠償 できない できない できる
解  除 できない できる できる
追完請求 できない できる できる
代金減額 できない できる できる

※青色の文字が改正ポイント

〇消費貸借契約

消費貸借契約でわかりやすい事例は金融機関からの金銭の借り入れです。エステ店が新店舗オープンのために金融機関から300万円の借り入れの契約を結び契約締結と実際の融資金引き渡しが1カ月後となりました。1カ月経たないうちにさまざまな事情で新店舗のオープンをとりやめました。改正後の民法では消費貸借契約において目的物、この場合は金銭を受け取るまでは契約の解除を認めています。ただし、借主が契約を解除したことによって貸主に損害が生じた場合、貸主が借主にたいして損害賠償を請求することができます。この場合の損害賠償は貸主が金銭を調達するまで負担した費用などにとどまります。利息などの損害賠償は請求できないと考えられています。
また繰り上げ返済が出来るかどうかについて改正前は、明文されていなかったのですが改正後は、いつでも返還することができることが明文化されています。借主はいつもで貸主に返還できることが可能になりましたが、このことで貸主に損害が生じた場合、貸主は借主に損害賠償を請求できる規定をもうけています。その損害賠償も利息相当額ではなく、それぞれの事案によって認定されることになります。

〇定型約款契約

不特定多数の顧客を相手に取引をおこなう事業があります。例えばインターネットを利用した取引や電車やバスなどの利用に関する取引、保険や預貯金に関する取引です。このような事業の事業者はあらかじめ詳細な契約条項を「定型約款」として定めて、これにもとづいて契約を締結していることが多くあります。民法の改正によって「定型約款」にも新しいルールが定められたのです。定型約款が契約の内容となるための要件として「当事者の間で定型約款を契約の内容とする旨の合意をする」もしくは「取引を実際におこなう際に定型約款を契約の内容とする旨を顧客へ個別に表示する」ことが必要となりました。上記の要件がみたされても信義則に反して顧客の利益を一方的に害する不当な条項は契約内容として認められません。
定型約款の変更が認められる要件は「変更が顧客の一般の利益に適合する場合」や「変更が契約の目的に反せず、変更に係る諸事情に照らして合理的な場合」とされています。顧客に対して必ずしも利益にならない変更については事前にインターネットなどで周知することが必要となります。

改正後の適用はいつから?

前回のブログでお伝えした保証に関する改正内容と今回の契約に関する改正内容は、法改正の施行日より前に締結された契約は改正前のルールが適用され、施行後に締結された契約については改正後のルールが適用されます。ただし、定型約款契約については施行日まえに締結されていても原則として改正後のルールが適用されます。